金町学園だより(第6号)

社会福祉法人東京愛育苑金町学園長 濱崎久美子

クリスマス会へのお礼に代えて
 −金町学園の改善への取り組みをご報告−

 遅まきながらではございますが、昨年末に実施致しましたクリスマス会には、多くの方々にご出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 社会福祉法人東京愛育苑は、『金町学園で発覚した体罰や性的不祥事等は、長い間習慣化されて行われていたものが、世間の目に触れることになった』と捉えています。ですから、その後の2年間の改革に当たっては、この慣習を生んできた温床を、根こそぎ変えなければ立ち直れないと、東京都等からの指摘事項に従い、改革を行ってきました。つまり、どこにどのような問題があったのか、それを変えるにはどうすればよいのか、の2点について具体的に行うことです。そのための課題は、はっきりしています。児童達に正しい生活の習慣化を図ることと、職員の意識を変え、変わった意識に基づく児童指導員としての職務を遂行することができるようになる、ことです。職員の意識改革には、研修をおいて他に方法はありません。しかし、『言うは易し行うは難し』の如く、どちらも時間がかかります。
 1期目(平成16年1月〜17年3月)は、組織の改革に主眼を置きました。『まず、形ありき』で、学園の経営、運営は、法令に基づいて行い、法人・園長が責任をもち、『世の中は、こうである』という形から入り、形に合うように行動することを通して、職員の公人としての意識を変革する期間でした。
 続く2期(平成17年4月〜)は、児童指導員という専門職としての力の育成です。まずは、自分が、専門職に値する力をどの程度持っているのか、自己評価ができなければなりません。それを、支援の基礎となる個別の支援計画を作成する過程を通して行いました。@まず、各児童指導員は、1年間担当する児童の個別指導計画を作成する、A次に、一人一人の児童の、実態や課題、育成の方向・方法などについて、全職員に発言を求めました。Bこの過程で、各児童指導員は、管理職や他の児童指導員の見方や考えを知り、自己の児童理解や計画作成の内容レベルも知りました。Cそれを元に、各児童指導員が修正した個別の支援計画について、管理職が個別に面談を行い、さらに修正して今年度の個別計画として受け取りました。それには11月までかかりました。途中、6月には、外部の講師をお呼びして、職の重要さとそれに向かうプロとしての厳しさについての講義も受けました。しかし、その研修報告からは、「講師の話に感動した」レベルがほとんどで、「自分は、プロとしてどうしなければならないのか」という視点で捉えることは出来ていませんでした。
 一方では、毎日毎日児童達の生活が営まれる中、児童同士、児童対職員、又は器物破損などの暴力的事件は相も変わらず起こっておりました。また、お世話になっている葛飾ろう学校小学部でも、授業を妨害するようなことが相次ぎ、学校でも対応をしていただきました。
 それでも夏休み、9月以降と、暴力的な事柄が沈下しつつあるかの様な情勢が続き、ほっとしていた10月初め、児童の暴力を受け、職員が怪我をする事態が起こりました。この件の解明が、今度は児童指導の在り方の研修に繋がりました。
 このような途上で、従来、学園内の施設で行ってきたクリスマス会を、学園外で開催いたしました。ほとんどの児童たちは、新しく用意した計画に乗りましたが、中には、従来の慣習や方法に固執する児童もおりました。しかし、学園の経営改革への理解を児童に求めることは難しく、彼らが目前に迫った社会生活に入ったときに、学園で近年変化してきた種々の事柄は、徐々に理解されるだろうと考えております。

法人より

社会福祉法人東京愛育苑
金町学園担当 上杉正忠

 「 今、金町学園では」 

 先日、平成17年度の東京都福祉保健局の職員5名により立ち入り検査を受けました。
 園生の支援・指導計画や記録、実際の処遇状況、経理、職員の経歴・資格、園内の清掃状況等様々な分野を法令に照らし、監査・視察をされ、避難訓練の回数不足などの指摘を受けました。
 平成15年度に発覚した職員の体罰・性的不祥事等については、法令に違反した職員の懲戒解雇・停職処分を行い、東京都、愛育苑調査改善委員会の指摘事項に基づいて、多くのことが改善できましたので、一定の評価をされました。これら改善の内容については、学園だより1〜5号でご報告しているとおりです。

◎子どもの暴力行為について

 これまで、学園では、職員・大人の力による指導、また、高校生から小学生への力による指示・体罰等が長い間続いており、この体制は高校生から小学生を一緒にした、所謂大部屋構成や室長制によって行われてきたと指摘されてきました。この考えと制度は廃止し、居室には改修を加え、年齢別化・個室化を出来るだけ多くしました。
 このところ、子どもが自分の意の通りにならない場合等にパニック、「キレる」状態になり職員に対して暴力行為に及ぶことが見られます。本人は、「暴力ではない。」「悪いのは職員だ。」と考えています。また、日常の生活の中で、年齢の大きい子どもが小さい子どもへの世話と称して、力ずくで指示・命令をしている様子が見られます。小さい子どもは怖がりますが、大きい子どもは、学園の伝統だと言い張ります。

1.何故、この様な考えや行動が起こるのか

2.特に暴力を暴力と考えていないのは何故か

3.どのような指導・環境で育ってきたのか

4.改善するには何が必要なのか、等について職員研修と子どもへの対応を続けています。

 3歳から学園で生活している子どももいます。幼児から力による上下関係や体罰・暴力行為を受けたり見る体験をして成長すると自分も当然のように体罰・暴力を再現すると言われています。
 毎回、園長のレポートを中心にして研修が行われています。3月末には、まとめの研修紀要を発行して関係の方々にご批評をいただき、学園の改善、職員の資質の向上を図り、開かれた学園にしたいと考えています。

実習生の声 (抜粋)

 平成17年度は、7教育機関、12名(男子2名、女子10名)、延172日(3月予定分を含む)の施設実習を受け入れています。学生や、仕事を持ちながら資格取得のために大学等に通う方それぞれが、保育士、幼稚園教諭、介護士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士等の受験資格取得のための実習です。

◎聖徳大学2年生女子(児童館アルバイト生)
「子どもたちの気持ちをどのように受けとめることができるか」をテーマの一つとしました。
実際、筆談をしてきて、助詞がきちんと使えなかったり、主語や述語の使い方がまちがっていたりすることがありました。聴覚に障害があることからくるのかどうかわかりませんが、言いたい気持ちをできるだけ受けとめる努力をしました。
将来は、相談活動の仕事に就きたいと思っているので、大変よい経験をさせていただきました。

◎上智福祉専門学校2年生男子(保育園臨時保母)
サークルで覚えた片言の手話ながら、子どもたちが受け入れてくれて、一緒にたくさん遊びました。子どもって、いいな、と改めて感じました。

◎東京成徳大学3年生女子
約1ヶ月間大変お世話になりました。
子どもたちの、さまざまな葛藤を上手にコントロールしながら、成長に導かせている職員の皆様の背中を見させていただきました。
これからも、ソーシャルワーカーとして働くことができる専門性を身につけていくために、もっと勉強していきたいと思っています。

◎早稲田大学4年生女子(職業機関講師)
複数の実習生と共に、互いに切磋琢磨させていただきながら実習させていただきました。
大学院に進んで更なる研鑽を積みたいと考えております。

お 便 り

−金町学園のみなさま−
 今回は、『クリスマスパーティ』に出させていただき、ありがとうございました。みなさんと楽しい時間が過ごせた事、交流を持てた事がとても嬉しいです。でも、何より嬉しかったのは、みなさんが大江戸ダンスに興味を持ってくださったことです。大江戸ダンスを紹介してくれた司会の人の言葉、Tシャツを指さしてくれたり、拍手してくれたり、いろんな場面で感じることができました。これもやはり踊らせてくださったみなさんのおかげだと思います。

「かっちけねぇ’S」 尾朝里香(おとも りか)さんより


お便り
 金町学園の子供達とは、土曜クラブで一緒に活動したり話を聞いたりしてきましたが、クリスマスパーティに出席して、ちょっと大きな事を考えつきました。10年くらい前、アメリカのボストンにある聞こえない子供の施設を視察しましたが、実は、そこは、金町学園のような施設もある、きちんとした学校でした。金町学園は、ボストンのような学校までは難しいかとは思いますが、一つの期待をするとしたら、大塚土曜クラブのような内容と金町学園のそれとが一体化し、学校作りのモデルのようなものを作り上げられるのではないでしょうか。来年は、少しずつですが、金町学園の子供達に、パソコンのことだけでなく、外に出かけて見聞を広げるなどで、何かレクレーションの機会を無償で提供できたらいいなあと思っております。

「NPO法人コミュニケーション支援センター」 代表 細川正嗣様より

こども達の活動と進路

 今年度は、児童のニーズに応えてそれぞれを伸長させる事に重きを置きました。そのために、個に対応することを基盤とする考え方を持つことやどのようにすればそれが実現できるかについて工夫してきました。関係の方々のおかげで、卒園生の進路もほぼ決まりました。その一部もお知らせします。

◎ 実施したり参加した活動

* 区民農園での野菜作り
農業指導員粟野さんのボランティアを受けて、小学部の子供達は大根やサツマイモなどを育て、それらはおかずやおやつになりました。野菜嫌いの子供も自分が栽培した野菜は喜んで食べました。

* 土曜日の活動への参加
小学生は葛飾ろう学校の文泉塾、NPO大塚クラブの土曜活動(学習、遊び、ダンス、調理など)に、参加しました。

* その他
地域のフットサル教室
(小学生1.高校生1)、スイミングクラブ(小学生2)、また、水元小学校を会場とした体操教室に、3人の小学生が通っています。

◎ 学園としての体験的行事

* 愛・地球博の見学
何十年に1回のイベントを肌で感じました。この経験は、どの子供にも、必ずいつか役立つときがあると思われます。

* クリスマス会
旧から新へのポイントを切り替える役目を果たしました。外の世界に目を開く、それを体験することに意義がありました。

◎ 卒園生の進路関係

* 在籍しているろう学校のおかげで、運送会社1.生命保険会社1.ビジネスホテル1.大学進学1.の進路が決まりました。卒園後は、生活支援センターや通勤寮にお世話になり、会社に通う事になります。期待と不安で小さい胸はいっぱいです。如何にスムーズに新しい生活に移行させてあげられるか、児童指導員は、詰めの大仕事にかかっています。

年度末までの行事

◎お別れ会
* 3月19日(日)「東京ディズニーランド」

◎卒業・卒園を祝う会
* 3月21日(火・春分の日)「学園内食堂」

◎誕生会
* 3月19日(日)、23日(木)、27日(月)
誕生者の希望メニューによる食事(昼食又は夕食)

※各行事について、OBの参加及びボランティアの予定はしておりません。

社会福祉法人東京愛育苑 金町学園
125-0032 東京都葛飾区水元3−13−8
TEL 03-3607-0786 / FAX 03-3607-0845